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制作秘話 91

《其の九十一》

小説家になるために一番大事なこと、一番必要なことって、なんでしょうか。

「文章が上手に書けること」?

もしもそうだったら、私なんかとっくに失業です(笑)

「誰も読んだことのないおもしろい話を書けること」?

たしかにそうです。それが大事なのですが、私が思うにもっと大事なこと。

それは、「おもしろい話のアイディアがいくらでも出てくること」です。

前提条件として、「だれもが共感できるキャラを、しっかり描けること」というのが必要です。
それができたら、プロでやっていけます。


「おもしろい話」は、(一般向けはともかく)ラノベや児童向けでは「キャラがおもしろいから話もおもしろく感じる」傾向があります。
キャラのおもしろさに加えて、話の構造におもしろさがある、文章の上手さはその次です。

なのになぜ初心者は「文章が上手に書ければ、おもしろい話が書ける」と思ってしまいがちなのでしょうか。

おもしろい話は、キャラのおもしろさが自然で、気がつかないくらい描き方が上手いということですね(笑)
まだ話の構造に関してなら、わかりやすい「仕掛け」「どんでん返し」があったりして、気がつくこともありますが。


キャラを書くのがものすごく上手ければ、アイディアは何年かに一度しか「これだ」というのが出なくても、原稿が書けるまでずっと待っていてもらえることもあります。

しかし、そこそこに上手いだけの場合、小説家として生き延びるには、アイディアがたくさん出てくることが求められます。次から次へ、じゃんじゃんそれなりの原稿が書けてくること。

ええもう、私のようなぺーぺーレベルだとホントにそんなかんじです。そこの技と速さだけで生き延びているようなものです。

「今から30分あげるから、短編のアイディアを3つ考えて」とか「こういうジャンルのシリーズ企画を、テーマだけ同じですべてパターンを変えて、10本以上、明後日くらいまでに提出してくれる?」なんて、私が実際にやってきたことです。

毎日、何を見ても聞いても、「それ、小説のネタになる」と、どんどん妄想がふくらむ、寝ても夢でさえストーリーを考えている、それが何よりも楽しい人が、小説家に向いています。

文章を書くのはめんどくさくても、アイディアを出すのに苦労しない人は続けられるでしょう。ゲームやアニメの企画者・漫画原作者としてやっていくのも可能です。


しかし、どんなに上手な文章がブログで書けていたとしても、エッセイストにはなれてもフィクションを創作するには苦労しそうです。
フィクションは現実よりもずっと「おもしろいアイディア」が必要なのです。

まだ何も起きていない空白(ゼロ)から生まれ出てくる、現実よりもおもしろいアイディアが、ですよ。


なので、「作文・読書感想文が上手だから、小説家になれば」などと子どものころ、大人から言われても、向いていない場合もあるのです。
アイディアがなかなか出ないのは、本当に苦しいです。

「絵が上手だから、漫画家になれば」も同じです。
漫画家にも一番必要なのは話のアイディアです。いまは「原作は別の人に頼む」という方法もありますが、それには人一倍の画力が必要です。
だって、印税は二人で半分こですから、同じだけ稼ぎたかったら、2倍売れるようなできばえでなくてはなりませんもの。


話の構造や文章の表現ばかり考えているかた、そういうことも大切ですし、私も過去にこの場で触れてはきたところですが、もしよろしければ一度、文を書き出す前のアイディアについても、振り返ってみませんか?

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