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《其の八十四》

物語を作る上で、最も難しいことはなんでしょうか? と、ふと思いました。

あれこれ考えてみて、時海としてはこれだというのを発表してみます。

「名ゼリフ」

狙って書いた時点で、それはもう「名ゼリフ」にならない気がします。どこか作り物めいた違和感が、そこはかとなく醸しだされてしまうというか、なんかわざとらしくなってしまうというか。

キャラが勝手に動きだし、勝手にしゃべってしまって、初めて「名ゼリフ」が生まれる気がするのです。
そのためには、キャラが勝手に動くほど、物語を作りこまなくてはなりません。

苦労してむりやり話を作っているうちはとうていキャラが勝手に動いてくれず、ホントにどこかに生きてるんじゃないか、という感覚にはほど遠い、糸の絡まりそうな操り人形を一人で何体も操作していてもう指がしびれて痛くなってきたってかんじ。
そこでセリフだけすごいの考えてキャラに言わせても、棒読みになって浮くだけです。

読者さんの心にいつまでも残る名ゼリフってのは、努力をたくさんしたご褒美に、物語の神様が気まぐれにくださるもので、書き手が自分でひねり出してえらそーに自己満足するようなものではないと、私は思うのです。

小説というか物語創作のあらゆることは、どうにか理論化体系化して説明が可能でしょう。
しかしながら、本当に心を打つ名ゼリフ・名シーンというのは、決して理屈で説明はできない領域にあるように、経験上感じます。

神の領域からときどきこぼれて落ちてくるそれを一作に一つ二つ、幸運にもキャッチできれば、謙虚な気持ちで何か大きな存在に感謝すべきでは、と宗教は信仰するよりも研究するものだと考えている私は、そこらで奢りそうになる己を戒めています。

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