《其の五十八》
なんか雑然とした内容になりそうですが、文体とか構成とか。
時海は児童書から一般向けまで広くチャレンジする小説書きです。 当然対象年齢によって、漢字の量(ひらがなにする)も、使う単語のバラエティも違います。
それに加え作品ごとに、文体を少しずつ変えています。
まあ、倒置が多いとか時海的なくせはやっぱりありますが、倒置も多かったり少なかったり。 比喩表現が多かったり少なかったり。 会話ばっかりだったり、地の文ばかりで心理描写と状況描写したり。
一文当たりの文字数の平均値も、変えています。特に地の文。 児童書だからといって短いわけではありません。 「遥か4」より「どーも」のほうが、地の文だと、一文の文字数が多いはずです。
また、ケータイ小説は極端に一文が短く、一行ごとに改行していたりします。 「プリマ」は会話ばっかりで書かれています。ゲームっぽく、エピソードというよりイベントですから。
時代小説は堅めの文にしたり、「あさき」は背景に飛んでいる花のかんじを出したくて美文調の比喩が多かったり。 現代物ものはわざと具体的な名詞を並べる、というのは前回も書きました。
一人称と三人称でも、印象が違いますよね。
構成もいくつか作品ごとに向いたイメージを作って、アレンジしてみてます。
私は基本、映像か画像で話が浮かび、それを描写しています。 マンガでイメージするか、アニメ(ゲームもこれ)か、実写なのか、みたいなイメージです。 テクスチャというか空気感がそれだけでも変わりますよね。
ずいぶん以前、製作秘話7で少し書いたのですが、基本は「起承小山転大山結」です。 それに「少女マンガの連載」「シミュレーションゲーム」「実写映画」みたいなイメージをつけます。
マンガだとエピソードの度に心理が揺れますし、心理描写が多い。 ミッドポイント方式として、ところどころに到達と転換になる地点を作り、区切りをつけます。
ゲームはイベント単位で考え、フラグをいくつか立てていって、キャラルート作ってそこへ入っていくかんじ。 会話が多く、初めのうちはイベントごとにきちんとシーンがまとまります。キャラルートに入るまでは、「これ、どうなっちゃうの」というところで切る「引き」をいれない。
実写映画だと、まず最初の2割までにキャラと設定を全部、わかりやすくてつまらなくない形で説明し、そこから複数の視点と思惑で話が転がってゆくことも。 伏線もきちんと示します。
きちっとどれかに分類できることもあれば、どれともつかないこともありますが、ゲームイメージだと会話が多いとか、映画だと地の文が多いとか、傾向はあります。
これらが組み合わさるので、作品ごとに印象が違う、さらにジャンルが違うともっと印象が変わる、というのがおもしろくていろいろとやってみてます。
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