《其の四十九》
制作秘話のうち、小説の書き方について書いた項目を読み返して、何度も出てくるのに説明していない単語があることに気がつきました。 大変失礼いたしました。それが、プロット、です。
いろんな定義があるでしょうが、時海にとってプロットとは、「物語の設計図」を意味します。 プロットには主に、舞台設定・キャラ設定・物語の背景設定・ストーリー(あらすじ・時海は章単位でくぎって書く)を書きます。 舞台とキャラはまあお解りですね?
物語の背景設定とストーリー(あらすじ)は、なんでしょう。 プロットについて説明する文をネットで探して読むと、この「物語の過去や裏にある背景」が書かれているのがプロットで、ないのがストーリー(あらすじ)というのを見つけます。 私としては、ストーリーはプロットの一部分になります。
わかりやすい例だと、ミステリーでしょうか。 犯人とトリックと動機、これをミステリーの書評や紹介文に書いてしまっては、だいなしですね。これを書かないようにして、内容を最初のページから順に紹介するのがストーリー。 犯人の動機とトリックをこういうふうにしたから、こういう事件が起きて、探偵がここの部分で犯人のミスを見つける、と説明するのが「物語の背景」でして、未読の読者さんにお見せするものではないですね。
私にとってプロットでたいせつなのが、この「物語の過去や背景設定」です。ストーリーを進める原動力です。 この過去や背景設定を先に必ず作ります。徹底して。その上で、この設定とこのキャラの性格から、どんなストーリーができるか、を考えます。
ストーリーではすぐに明かされない部分も、たくさん設定されます。読者が興味を持つ「謎」になるよう。この「謎」を知りたくて、読者は先へ読み進める。 ミステリーだと、犯人は誰なのか、というのが大切な「謎」ですよね。 恋愛で、あこがれの彼がなかなか主人公に心を開かないのは、実は彼にはこういう悲しい過去があり、もう一度傷つくあるいは傷つけるのをためらっているからだ、というのも「謎」になります。 「実は」←この言葉が、プロットには何度も出てきます。
こういった過去やキャラの生活ぶりを徹底して作りこむことで、キャラ設定(キャラの性格とか服装の趣味とか特技とか目に見えやすい部分)が生きてくるのだと思っています。 そして、争いの絶えない異世界とか、現代の楽しい学園生活とか、そういった舞台にきちんとはめこむことも、できるようになるのですね。
設定したことによって細かなエピソードもたくさん生まれますから、ストーリーの描写がいきいきとしてきます。というか、キャラが実在しているような感覚に陥る「いきいき」さを目指すわけです。
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