《其の四十五》
源氏物語の和歌についてと、どっちにしようか悩んで、今回は小説の書き方のほうにしました。 ガジェットとギミックのお話をしようと思います。拙作について少々ネタばれするかもしれません。
いろいろな解釈があると思うのですが、私はガジェットを「小道具」、ギミックを「仕掛け」という意味でとらえています。 意識して使うように心がけています。
ストーリーのパターンは、実はそんなに種類がない、と私は師匠に教わりました。 三十いくつだとか、三十もないとか、いくつか説があるようです。 なので「誰も読んだことのないストーリー展開」を書くのは実質不可能でしょう。 古代ギリシア時代に演劇のパターンで出尽くしたとか、シェークスピアが全部書いたとか、いわれますもの。
ではなぜ、「こんな話読んだことない」と感じるのかというと、ストーリー全体に対して、細部およびキャラの組み合わせではないかな、と。 細部というのはまずテーマやモチーフ……いや、テーマはわりかし単純に絞り込めるものですから、モチーフの斬新さでしょうか。 そして意外なガジェットやギミックを効果的に使うことだと思うのです。
これで伏線をしこんだ先の読めないストーリーパーツの構成、なによりもキャラが立っていれば、楽しめる物語になるのではないかと思い、いつもどりょくをつつげているわけです。 エンターテインメント小説の理想型目指して。
具体的にガジェットやギミックの例をあげてみましょう。 そうですね、ジブリアニメの「ラピュタ」ならば「飛行石」がそうです。物語の中心にあって、最後まで活躍します。 拙作だと、「玉響」の鈴&鏡とか、「コウヤ」の刀の鬼丸は、意識しています。
ギミックは初めから明かされているものと、物語の途中で明らかになってゆくものがあります。 例としてなにがいいかな、たとえば男子校に男装して性別を偽り転校してくる女子、というドラマになった漫画がありました。ああいうかんじ。 拙作だと、はじめから明かされているのが鳴の能力であり、伏線によってだんだん見えてくるのが颯音の人格の秘密とか、「コウヤ」のみちびきの玉の秘密ですね。
こんなのなくてもお話がなりたつ、ではなく、これがなければこのお話はなりたたない、というふうに使ってこその、ガジェットやギミックですね。
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