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物語のひみつ 9

《その9》

毎日小学生新聞の連載「おうばがふところ」について、ネタばれぎりぎりで、物語世界の外側をすこし説明しますね。

まず時代は平安時代後期、12世紀前半の東国(東日本)です。
京の貴族の荘園や牧があって、国守(くにのかみ・こくしゅ=受領・ずりょう)が赴任していた時代。
その国守に取り入る地方豪族(物語の中では「長者」)と、豪族の財産や領地を警護する武士がいる。
ちなみに「源氏物語 あさきゆめみし 3」では、貴族である光源氏からみた、そのへんのことがちらっと描かれますが。

そして、荘園で働く農民の他に、自給レベルの焼畑と狩猟そして林業で生活していた人びとが、まだおおぜいいました。
この人びとは、地域によっては、昭和の初めまで存在していたのです。教科書にはあんまり書かれていませんが、日本人全員が水田で稲作をしていたわけではないのですね。

「おうばがふところ」を漢字で書くと「御姥ケ懐」、おばあちゃんの胸に抱かれたように暖かくて安らげるところ、という意味の地名です。
この地名、中部地方によくみられまして、地域によって、土器をつくる粘土が取れる場所だったり、南向きの崖下に泉のある場所だったり、します。どれも人の役に立つよい場所です。
宝の場所、というような意味がおおもとにあったようですね。

「オガミ」という言葉が、連載の3回めに出てきます。
漢字で書くと「夫神」です。これも中部地方で、夕立雲が涌く方向のポイントになるような、山のてっぺんあたりに祀られている雨の神さまです。
雨乞いの時はこの神さまの祠(ほこら)に捧げ物をし、それでも雨が降らないときはほこらをけとばしたり、しばったり、おしっこひっかけたり(!)して、怒らせて暴れさせる風習が、ところどころにあるようです。
私の住んでいる地方にも、そういう山と祠があります。

日本の昔話の世界を書いてみたかったんですよね。おじいさんとおばあさんが住んでいて、長者さまがいて、親のないきれいな娘(しかも押しかけ女房志願)がいて。
それから、外国の民話のようなヒロイズム……奪われた恋人を助けるため、どこまでもおいかけてゆく若者。

連載型式なので、話の展開が速めです。明日、続きはどうなるんだろう、と、よろしければ楽しんでいただけましたら、幸いです。

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