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物語のひみつ 2

《その2》

今年は2005年ですが、「コウヤの伝説」は鎌倉幕府が滅びた1333年の夏のお話です。
1333年に本当にあった戦と、生きていた人をモデルにしています。場所は、いま、私が住んでいるこの八ヶ岳のふもと。
実際に生きていたのは、おおとのさま(北条高時・ほうじょうたかとき)や、三輪盛高こと諏訪盛高(すわもりたか)です。

きじゅ丸にもモデルがいて、高時の二番めの子、大人になってからの名前を北条時行(ほうじょうときゆき)といいます。
しかし、時行の子どものころの名前や生まれた年がよくわかりません。記録によって違うのです。
いちばんよく知られた説は「亀寿丸(かめじゅまる)」で1333年には2才だった、ですが、その後の記録とあわないところもあります。

そこで私は「きじゅ丸」を思いつきました。1335年、2年後の夏、その子どもは「時行」となって、鎌倉へ諏訪(物語のなかでは諏訪氏の別称みわ一族から三輪とした)の生き残りのさむらい、たとえばみさ可のおじいさんといっしょに攻めこんで、かたきうちをしています。

みさ可は本当は、いなかった姫です。いたのは、小さな男の子。男の子はお父さんやおじさんが亡くなったと知り、敵に屋敷を攻められて火を点けられる前に、「コウヤ」へわずかな家来といっしょに隠れました。ごはんを食べるためのたき火も、敵に見つかるからと、なかなかたけなかったそうです。

この子と時行は、このとき出あっていてもいいはずなのですが、記録になく、「再会」するのは数年後、かたきうちの戦を続ける時行の軍に参加したときになります。このときの男の子は、読者のみなさんと変わらない年(今なら小学校5年生)です。でも自分をまもるためにたたかい、けがをしています。

時行は17年ものあいだ、味方になってくれる人をさがしながら、日本の各地をさまよい、追っ手とたたかい、1352年にとうとう敵、つまり室町幕府の足利(あしかが)氏につかまって、翌年反逆者として殺されました。
鎌倉を盛高とともに脱出したのと同じ、20年めの梅雨のさなか、鎌倉の町はずれの処刑場で、亡くなったのです。
一生をかたきうちだけに生きた人、私は北条一門の最後のリーダー、時行に心ひかれるのです。

吾郎はそのころ生きていた名もない農民代表ですが、金竜は記録に残っています! どうやら本当にいたみたいですね(笑)
いまでも、私が住んでいる元・コウヤの入り口で、呼べば現れるのかもしれません。
呼ぶためのあれさえあれば……あれ、つまり○○○○○については「2 まもりの刀」を読んでくださいね。

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